世界は、弱くなんてない。
 世界は、小さくなんてない。


 ――消え行く命があった。
 否。それは既に消えたる命。死したる身体。まだ、魂が離れていないだけの、それだけの屍。潰えた命。終えた命。
 この世界より去る。その命――否、魂に残された為すべきことはもはやそれだけだった。
 死んだのだから。
 終わったのだから。
 ――だが。
 終われない。
 終われはしない。
 終わるわけにはいかなかった。
 しかし、結局は死んだ。所詮、そんな想いなど死の前には等しく無意味なものだった。
 そう、想いの力で世界は揺り動かされはしない。変わりはしない。
 何故ならば。
 世界は弱くなんてないから。
 世界は小さくなんてないから。
 ――そう。
 世界は、たった一人に揺り動かされるほど、弱くも、小さくもないのだから――


 だから。


 たった一人の人間が終わったところで、始まったところで、世界は揺るぎはしない。


 終わりは始まり。
 始まりは終わり。
 終わりの始まり。
 ――終わりが始まり。

 

 

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