朝だ、朝ですよ奥さ〜んっ!!

ん〜、いい天気だ本当。

青い空、降り注ぐ太陽の日差し、そして横には天使のように可愛い女の子。

寝顔を見てるだけでも幸せなんですがヤッパリ悪戯してみたくなるのが男の性(サガ)。

ツン

「………」

ツン、ツン

「……むぅ」

かっ、可愛い

ってこれじゃあ完全に変態ですよ、俺。でもなぁ〜可愛いもんは可愛いし。

というかね、アレですよ。こんな可愛い寝顔を見ても何もしないなんて男じゃない。

不能か同性愛者じゃなかったら洩れなく襲ってるね。いや、俺は其処まで腐ってないし溜まってない。

 

 

……、多分

 

 

自信ないなぁ

流石に美少女と二人っきりで旅行(正確には世界征服)だってのに一人でするわけには行かない。一日三回なんて限界に挑むつもりはないけど一様俺も男だしねぇ。

とりあえず朝っぱらから真央に醜態(生理現象ともいう)を晒すわけにもいかず、こっそり寝床を出て森の奥を散策することにした。

 

(しかし何でこんな事になったのかなぁ)

 

真央の仲間に(無理矢理)なったとか、一緒に世界征服する(無理矢理)になったとか、あまつさえ警官殴って思わず逃げちゃったとか、だから野宿する羽目になったとか『こんな事』を挙げれば霧がない。

……世界征服以外全部俺のせいか?

いやまぁ、確かに俺はフラグ確定狙いましたよ?お約束も踏みしめましたさ。

でもね、普通の人はそれで世界征服を手伝うことにはならないですって。

しかも世界を相手にするって言うのに面子は今のところ俺と真央の二人だけ。

真央の親父に関しては俺が川に流したからしょうがないとしても二人で旅をするようになってから真央の部下って見たことない。

仮にも彼女は『大』魔王だ。

確かに心読み以外の能力は未だに見たことないけど、それだって力量は十分に判る。

気を抜くと萎縮しそうな程の魔力垂れ流してるし。

まぁとりあえず強いのだけは確かってことなんだけど、戦ってる姿とか想像出来ない。

ん〜、でも未だ具体的なプランは聞いてないしそれらしい事もしてないんだよね。

……はっ、もしや世界征服なんて口実で実は俺と一緒に痛いだけ?

いや、そんな、まさか、でも、実は、だからって……。

 

一人でこんなことやってるまるで馬鹿だな。

 

とかやってたら、ここには不釣合いなほど立派な墓と手を合わせている老人が見えてくる。

墓があるってことは誰か死んだってことで、手を合わせているという事はこの老人の身内ってことになるんだろう。

手くらい合わせていっても罰は当たらンよな。

「おや、こんなところに人がいるとは珍しい。しかも、手まで合わせていただいてありがたいことです。ここにはご旅行で来られたのですかな?」

「いえ、少し訳ありって奴で。ところで誰が亡くなられたんです?」

多分奥さんに先立たれたとかそんなんだとは思うんだけど、間違ってたら途轍もなく失礼だし。

でもこうやって初対面の人にこんなことを聞くのも十分失礼な気がしてきたなぁ。

「写真見ますか?」

どうやら気にしてはいないらしい。

気にしてはいないらしい。

んで、写真を覗き込む。

思った通りに老婆が……、いない。

Whats?女の子?幼妻?犯罪?

写真に写ってるのはどう見ても十歳てまえの少女としか形容できないような感じデスヨ?

「孫です。ずっと身体が弱くてねぇ。殆ど外に出たこともないまま去年八歳でなくなりました。初孫でしてね、あの子が産まれたときはそれは嬉しかったものですよ。……。」

長い、いや俺から聞いたんだけどさ。

孫、孫、孫。

孫かぁ、そりゃそうだよな。年の差八十歳なんてロリとかペドとかいう問題じゃないし。

駄目ですか、俺の頭もぉー駄目ですか。

そっか孫かぁ。

ハズカシイ。

 

メキメキギイィィ・・、ドッスーン。

 

うわぁ何かわざとらしい破壊音が聞こえるぅ。

やっと真央が起きたのか。

ということはダッシュで帰らないとやばいですか、やばいですね?

それじゃあ行きますか

「おやおや地震ですかな?この辺りでは滅多に無いのですが珍しいことですな」

いや珍しいとか同意を求められても住んでるわけじゃないから判らないし、つかそもそも地震だったら木は当て付けの様に一本ずつ倒れたりしないから。

「あぁー連れが心配なんで俺帰りますね。それじゃ、縁があったらまた」

「おぉそうですか。それはこの爺の長話に付き合わせてすまなんだなぁ。お詫びと言っちゃあ何だけこれを持って行って下さいな。」

そういって差し出された袋の中身には見覚えがあった。

次元転移宝珠……、しかも何個かある。その名の通り異世界間の移動には絶対必要

なもので、うちのボロ屋くらいなら何軒か買ってお釣りがくるお値段の筈だ。

しかも最近品薄で年単位で入荷待ちしてる人もいるらしいし。

「孫は自分が家から出れないせいかだいの異世界贔屓でしてな。今度遊びにきたら色々召喚してやろうと思っていたのですが、孫が死んだ今となってはこの年寄りには無用の長物。どうか受け取ってやってください。それが孫の供養にもなりますから。」

「……、判りました。じゃあ代わりにこれをお墓に供えさせて下さい。地

球土産ってことで置いていきますね。今度こそこれで」

……断わる時間も惜しいので代わりに某アゴヒゲアザラシのぬいぐるみを渡して駆け出した。

 

Equip フィシス・綾崎・フィンドーラ 次元転移宝珠

 

木が倒れる音が徐々に近づいてきた。

まぁ、これくらいなら此処に来る前にも何回かやられたから馴れた。

わざと大きな音をたてるのは「迷子になったら大きな音を出しなさい、そうすればお父さんがす

ぐに見つけてあげるからね。」とか言われたせいらしい。

あの犬っ、そのうち潰す。

この場合真央にとって迷子になったのは自分ではなく俺だろう。

つまり俺が逃げるとは露程にもにも思ってないのだろう。

常識はあるが基本的に自分中心の思考なのだ。

自覚の有無に関わらず上流階級の特徴ともいえる。

しかし此処迄やれば見つけやすいのは確かだなけっこう広い森だったけどすぐ見つかった。

「あっ、フィシスさん何処に行ってたんですか?心配したんですよ。」

「逃げられたかも、ってか?」

「もぁ、ふざけないでください。私がフィシスさんを疑う訳無いじゃないですか。フィシスさんは一緒に世界征服するっていう約束をやぶるような人じゃないって信じてます。あとお嫁さんに貰ってくれるってことも

ンな約束してねぇ?

ここまで一緒に旅はしてきたけどそんな約束は一回もした覚えが無い。

ていうか今までに交わした会話なんて日常的過ぎて逃走中だって事すら忘れちゃいそうになるくらいに平和だった。

趣味とか好きな食べ物とかその日の飯を如何するかとか俺の事とか俺の事か俺の事とか……、って俺のことばっかじゃねえか。

「酷いっ。今まで優しくしてくれたのは全部嘘だったていうんですね。ずっと騙してたんですね。そうなんですね」

娘を泣かすなあぁぁぁ〜

「おぷしっ」

突如親父来襲、犬パンチ。

こいつぁ〜効いたぜ

「お父様?」

「おぉ、真央。やっと見つけたぞ我が娘よ。」

「お父様、フィシスさんが、フィシスさんが……。」

「皆まで言うなずっと見ていたぞ。こんな男さっさと殺して家に帰ろうな。」

この犬、下水に放り込まれたの未だ根に持ってやがるな?

しかもタイミングよすぎだろ

泣かせてすぐってアンタ

「おい犬、何時から居たんだ?」

「ん、三日ほど前だな。お前たちが不仲になるまで息を殺して待っていたのだよ。そしたら細かい虫やら何やらがしつこくて……、はっ!!

「つまりずっと一緒にいて娘を助けなかったということだな、心配して泣いてるのを見ても知らん顔してたって訳か」

「うっ、それはその……、」

犬の方はこれでよしっと。

問題は真央の方だな、下手なこと考えても先刻のように読まれるのがオチだし。

「別に世界征服を手伝うのはやぶさかでないんだが、真央は何でってそんなことしようと思ったんだ?別に真央が人に危害を加える趣味があるとも思えんしさ」

「あっ、それは魔王だからですよ。魔王やるからには何かデカイことやっとけってお父様が、」

「それだけ?」

「はいっ」

やっぱ笑顔が一番可愛いねぇ。

じゃなくて、思いっきり適当な理由だし

これは何とかしないとヤヴァいだろ、世界を左右するような問題ですよこれは

「なぁ真央さんや、俺はこのままではいけないと思ったよ。大体計画性なさすぎだし。ンで、俺は決めました。ゲームしましょう。」

「ゲームですか?脱衣麻雀とか脱衣ポーカーに脱衣将棋、えっとそれからぁ…」

「いや脱衣系から離れなさいって。まぁルールは簡単、俺を捕まえるだけだ。時間は無期限、方法は問わない。とりあえずそれくらいかな。それで俺を捕まえられたら、そっから一緒に世界征服開始ってことで」

「フィシスさんを捕まえるんですか?だってフィシスさんは目の前にいるんだから簡単ですよ。何してもいいなら魔法もつかえますし。」

「うん、でも俺は転移で逃げるしね。それに普段地球にも行ってるから重力の関係で運動能力には一寸自信あるから、気を抜いてたらさっさと逃げるよ。」

思いつきで言った割にはそれなりによく出来たと思う。

魔力で魔王に勝とうなんて思ってる訳じゃない。

実際に勝算もある。

後はのってくるか如何かなんだけどこれも心配はいらないでしょう。

「わかりました。でも私の周りには……」

「恒常性効魔法領域がある、か。それなら気にしなくても良いよ。というかそっから魔力借用して逃げるからね」

魔法が行使される空間には魔法領域という特殊な力場が形成される。

これは想像したものを具現化する上で必要になるもので大抵の魔法式の中に組み込まれている。

ただし施術者が意識的に展開する必要がある。

しかし恒常性効魔法領域というものは魔族とかが常に垂れ流している魔力によって形成される為その中で魔族当人が考えたことはすぐさま具現化される。

他者が魔法によって干渉すること自体は出来るが流石に魔王相手となるとこっちの駆動はずべて制御されると考えた方が良い。

つまりその中に居る状態において彼女は絶対者だと思って間違いがない。

その上、普通に転移系魔術を使った場合、直後なら簡単に追跡することが出来る。

原因としては魔力自体が感知されることもあるし空間のズレを発見される場合等挙げていけばキリがない。

だが幸いこっちには先刻貰った宝珠がある。

勿論それだけで時空間跳躍は不可能なんだけど壁に穴を開けるくらいは出来ると思う。

つまり世界と世界の間を経由することで残存魔力の痕跡だけでも消そうとしたわけだ。

それにこの世界に『存在』しないなら魔法領域の影響も受けないし、宝珠が無尽蔵に魔力を吸い上げるので当然守りは薄くなる

『思う』とかいったのはやったことがないからなんだけど、このまま方向性も決めないで旅を続けるよりましな気がするし。

「因みに注意事項としては俺を見つけるまでの間、無闇に人を殺したり破壊活動を行わないようにしてくれ、自衛のための半殺しなら別にいいけど。これ破ったらマジで怒るからね、どんな理由でも。あと宿題としては、何で世界征服するかも決めといてもらいたいんだけど。」

「一寸待て、ワシを差し置いて何を話しておるかぁ〜」

おっ、親父復活

 

ぱぁ〜ん

 

「お父様、静かにして下さい。」

気付くと真央の手には自動小銃が握られている。

多分心読みの応用で俺の記憶の中の使い勝手のよい武器を選んで具現化したんだろうけど、流石に魔王容赦が無い。

あっ、犬が動いてる。

流石に丈夫だな、元魔王

「要領は飲み込めました。絶対すぐに見つけますから待っていてくださいね」

「あぁ。一寸この犬借りてくね、色々聞きたいから。」

転移

何か不快だなぁ

しかも何処着くか判んないんだよな、これ

 

 

……っ、はい着きました。

ここは見た感じフォルティル大陸だな。

とりあえず今やることは

「おい犬っ」

首根っこを掴んだまま振り回す。

「げふ。何をするかこの馬鹿者は」

「いや早く起きてもらわないと連れてきた意味ないし。真央のこと少しでも教えてもらおうと思ってさ。これから世界相手に戦うのに俺は真央のこと何の知らないんだよな、だからさ。」

「むぅ、散々人をコケにしといてそんなこと言うのか。気に食わんがまあしょうがない、確かに真央の下僕としてお前は無知すぎるからな。ではまず魔王という肩書きのことだが実際には未だあの子のモノではない。代々魔王の子は生まれた時から親の奴隷として育つ。そうしないとその強い力を誰にむけるか判らないからな。そしてある一定の年齢に達したら親、現魔王を『一度殺して』王位を継ぐことになる。」

「一度殺すって言うのは?

「流石に魔王ともなると一寸ぐらいでは死ななくてな。大体脳の五割くらいを破壊されたら一回死んだということになる。なんだがあの子は母親の血のせいもあってあまり殺すとかそういうことに向かんでな。未だワシを殺せてないわけじゃ。」

なるほどね、一様年齢的には魔王だけど未だ継承が済んでないらしい。

にしてもこれくらいで付き合っていくのに支障がでるんだろうか。

何か真央が優しいって言われてるだけな気がしてきた。

「ただ、あの子の中で抑圧されたワシの血が別人格を形成してたりするんでお前との約束を守るのはチト困難かもしれんぞ」

「それでも俺は真央を信じるだけだ。とりあえず行くぞっ。目指すは大陸の首都フォトベーストだ。ほらちゃきちゃき歩く。」

信用

それがどんな結果を起こすかなんて今の処は判らないけどそれでも信じることは大切だと思う。

約束

守られるか如何かなんて賭けだけどこれも信じなきゃ始まらない。

だから俺は俺の出来ることをやるだけだ

 

「しかし何で首都に向かうのだ?特に移動する必要性もない気がするのだがな。」

「真央と合流したら即行で攻め落とそうと思って、あと最近地球から召喚された奴がいるらしいんで見物に行こうかと思ってな。会えないかもしれんが」

 

 

「誰かいますか?」

「お傍に」

私の影の中から声がした途端、背後によく見知った女性が現れる。

「やっと決心がつきました、私はフィシスさんに相応しい本当の魔王になります。だから協力して下さい」

「その言葉、お待ちしておりました。して何をお望みですか」

「……、父を殺してください。きっとそれは私には出来ないことだから。」

「しかしそれでは正式な継承は成りませんよ。」

「判ってます、その上で私が父を殺します。」

「御意に」

そういって彼女は影に帰って行きました。

 

待ってて下さい、フィシスさん。

私は絶対にフィシスさんに相応しい魔王に成って見せますからね!!

 

 

 

ここまで無茶して続くのか?

続けなきゃ訴えて、勝つよ!!

 

 

 管理人注: 地球から召喚された奴 → 七斗らしいです(笑

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